シンガポールの思い出

2010-2014年、星国に滞在していたときの記録

メイド斡旋所

近所にあるショッピングセンターのワンフロアが、メイド斡旋所だらけでびっくり。

斡旋所の中を覗いてみると、若い女の子が(おそらく斡旋登録のために)並んで座っていました。

シンガポールでは、外国から出稼ぎにきているメイドを安く雇うことができます。掃除、洗濯、料理など何でもやってもらえます。通いのメイドなら1時間10ドル程度、住み込みのメイド(月に200−250ドル程度)を雇っている家も少なくありません。

メイド用の設備がついている家も多くあります。設備とはいっても、キッチンの裏手に窓も何もない部屋と、トイレとシャワーが一緒になった洗面所があるだけですが・・・。また住み込みメイドの休日は月1日(!)が基本、しかも働き始めて半年は休みなしという話です(詳細未確認)。

同じ屋根の下に他人が住む、しかもメイドにとっては24時間仕事状態、もちろん事件も発生します。雇い主から暴力を受けてけがをしたり、逆にメイドが雇い主を殺してしまったりという話も聞きます。いっぽうで最近見かけた新聞記事には、長年仕えてきたメイドに、実の子供と同じ分配率で遺産をのこした雇用主がいた・・・というちょっと心温まる話が載っていました。

しかし、窓も明かりとりもないじめじめとしたメイド用の部屋を見ると、人権的にどうなのか?ということが頭をよぎります。

ただしメイドは強制的につれてこられるわけではありません。自分または親の意思で来ています(親に言われたから仕方なくというケースもあるとは思いますが)。また本人の祖国から見ると少なくはないお金を貰っています、そのお金を祖国に仕送りしているメイドもたくさんいて、彼女たちのための送金業者・両替業者がずらりと並んでいるショッピングセンターもあります。さらに病気の場合は雇用主が面倒を見る義務がありますし、住み込みメイドさんはいちおう衣食住が保証された状態ではあります。

本人の自由意志で来て、相応の対価を支払われ、雇用主が最低限の保証をしている。誰も大きく損はしないシステムではありますが、もしも日本で同じことをしたら各所から非難囂々でしょう。またシンガポールの周辺の国が経済的に発達してきたときにどうなるのか等、考えようと思えばいろいろなことを考察できるシンガポールの一側面です。

 

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